マンスリーへむく ―現場の声―:2021年10月

マンスリーへむく ―現場の声―:2021年10月

COVID 対策会議:第100回 記念? 〜それはまだ通過点に過ぎない〜

副センター長兼兵庫県災害救急医療情報指令センター室長
川瀬 鉄典

 院内コロナ対策会議、正式には「兵庫県災害医療センター新型コロナウイルス感染症対策会議」(なが!)、最近は毎週火曜日11:00から2階研修室で開催しています。その内容を翌日水曜8:45からの全体会で伝えるとともに、議事記録をメールで配信しています。
 思い起こせば、昨年(2020)2月、第25回日本災害医学会総会を中山会長のもとに開催した頃、中国武漢から始まったコロナ旋風は政府チャーター機での邦人帰国、ダイヤモンド・プリンセス号(DP)と、どんどん我々のそばに広がっていきました。そして、ついに3月1日、兵庫県で一人目の患者が確定しました。3月10日頃には連日10人ほどの陽性者が出て、入院患者は40、50、、と増えていきました。

「ヤバイな・・・」 災害医療を知っているものが最初にやることは決まっています。そう、まずはCSCA(Command & Control, Safety, Communication, Assessment )です。
3月12日(木)幹部会議を提議して、13日「兵庫県災害医療センター 新型コロナウイルス感染症対策本部:HCHQ設置要綱」を承認させ、HCHQ(部長会と同メンバー)のもと、COVID対策会議が立ち上がりました。
 この時、神戸赤十字には最初の陽性患者がおり、重症対応には両院が協力してあたることを確認しました。患者転送の経路、ゾーニングなどを検討し、神戸市内では7病院がコロナを受けるという状況でした。救命救急センター同士で情報交換し、当センターはそれまで通りの3次救急の受入れ・治療をいかにこなすか、緊張の連続でした。
 治療薬がない、PPEの枯渇も予想される中、COVID関連情報の流れには特に気を使い、確認しました。対応の失敗はコミュニケーションエラーから生じることが多いのです。疑い患者対応時の換気の問題、アルコール消毒剤やサージカルマスクの入荷困難、面会制限、、、ほぼ連日、話のネタは尽きません。3月19日に兵庫県庁に設置された入院コーディネートセンター(CCCH)のことは2020年5月頃のマンスリーへむく「CCC-hyogo (正式名称:兵庫県コロナウイルス感染症入院コーディネートセンター)とは?」をご参照ください。

 第1波は、全てが手探り状態で、あらゆる情報を探りながら乗り切りました。第2波は、少し余裕で過ぎましたが、下げ止まりの中、11月から2021年1月の第3波で「災害認識」をさせられました。この時、初めてHEMCからは西宮の宿泊療養所へ医療支援を派遣しました。県立加古川医療センターに医師を派遣し重症治療に直接関与し始めたのもこの時期です。パンデミックの恐ろしさを実感し、兵庫県が阪神淡路大震災以来、久しぶりに大災害を被り、次の波にどれだけ備えられるかを真剣に議論した、はず、でした。
 しかし、3月から始まる第4波は、東京ではなく関西を直撃し、兵庫県は大きな「被災地」となりました。それまでの日本で最悪の状態が神戸市を中心に発生し、厚労省やDMAT事務局、Japan Heartなどからも非常に多くの支援を受けました。この時を境に当センターからは神戸市に支援者を派遣する仕組みができ、現在に至ります。当時は高齢者へのワクチンもなかったため、患者の家庭・施設を訪問した医療者は多くの凄惨な状況を目にしました。

話がそれたので、院内の現状に戻ります。
「コロナ患者を治療していない病院」と言われる当センターは兵庫県という地域の中で、(コロナの疑いがある)呼吸不全患者らの救急を受け入れて、宿泊療養施設への医療支援、重症コロナ拠点病院への医師派遣、保健所・行政への支援者派遣、保健所と老人介護施設でのクラスター対応、ロジスティクスチームの派遣・調整、災害医療コーディネーター研修、県外への支援派遣などという幅広いコロナ対応を行いつつ、外傷救急、臓器移植のdonationも継続できる施設です。今唯一足りないものは、コロナ患者の実際の継続治療ですが、全てを求める必要はないかもしれません。現在、新興感染症を診ることができる強い病院となる準備(BCM)が進行中です。力を合わせて、乗り切りましょう。