マンスリーへむく ―現場の声―:2015年1月

マンスリーへむく ―現場の声―:2015年1月

中京病院へ研修に行ってきました。

救急部 水田 宜良

救急部の水田です。昨年の7月から半年間、熱傷を勉強するため、名古屋市の中京病院へ研修に行って参りました。
思えば、1昨年の夏頃から重症熱傷患者を立て続けに担当させていただき、長期間に渡る入院治療に達成感がありながらも反省する点が多かったのが熱傷との出会いです。植皮術の際に、松山先生に「水田くん、中京に行ってみんか。クルクルの姉ちゃんもおるし。」と声をかけていただき、新たな環境で学べる魅力もあり、熱傷研修を決断いたしました。HEMCからの中京病院での熱傷研修生としては5人目となります。はじまって早々は慣れない環境もあり、病院への行き帰りに新幹線をみては、「あ~、神戸~」と女の子みたいになっていましたが、80%熱傷を契機に、半年間で計42症例、うち重症熱傷(Ⅱ度30%以上、Ⅲ度10%以上、気道熱傷など)は計14例、手術は21件を経験させていただきました。

中京病院は663床の総合病院で、そのうち救命救急センターは42床、うちわけは救命ICU8床、熱傷ICU4床(HEMCでのICUに該当)、CCU6床、HCU24床(HEMCでのHCUに該当)となります。
センターの患者は、救急科医師8名(うち2名は後期研修)の他、循環器内科、外科、脳外科といった担当科医師が担当し、実際のところ救急科がメインとなるのは、熱傷、重症外傷、中毒、敗血症などの症例になります。人口220万人の名古屋市には6つの救命救急センターがあり、中京病院もその1つに該当するわけですが、熱傷については広範囲な症例や手術が必要そうな症例は中京病院へ直接または転院搬送されます。愛知県内だけでなく、はたまた三重県などの県外からも長距離搬送され、集約化されています。形成外科(医師4名)も含めると、熱傷の治療実績は1年あたり100症例以上と、全国No.1の実績となります。

そんな中、救急部の一員として働かせていただいたのですが、毎日の仕事はカンファ、回診の後、ほぼ全員で熱傷処置をするのがルーチンでした。体重測定、シーツ交換、洗浄、被覆など日々劇的に処置が変わることはありませんが、熱傷医としての「眼」で創部を観察し、感染があるのかないのか、被覆材や軟膏をどうするのか、手術すべきなのかどうなのかを評価していきます。全員で行いますので、最大2名×2を1時間以内に終了することも可能で、看護師さんも部屋の外から物品をそそくさと届けてくれます。やはりスタッフが情報を共有しながら、やるべき仕事を把握していると処置や治療もスムーズに遂行され、患者さんの負担も減らすことができます。

午後は、救急外来などを担当しますが、その間ベットサイドでは毎日Ns、PTによる看護、リハビリが行われ、必要に応じて精神科医師によるメンタルの介入も入ります。

昨今、熱傷治療分野では、培養表皮(ジェイス…腕を吊ってほしているやつ)などが注目されておりますが、毎日の創処置のなかで、基本的な創部の観察、処置から、受傷時の熱傷ショックや敗血症の治療、そして手術のタイミング、術式などを基本から学ぶことができました。

半年間もいれば、災害も起きるものなのか、工場爆発による多数傷病者(熱傷)の事案も経験しました。

思い返せば、2013年の福知山の花火事故の際、患者を搬送したドクターカーの担当でした。今回は症状者15名で、気道熱傷を含む計7人が中京病院に搬送となり、救急外来でトリアージ、処置等を行い、また現場へはDMATが派遣されました。さすがは熱傷ICUが4床もある中京病院ですので、複数人の受け入れが可能でしたが、広範囲熱傷の場合は分散搬送も考慮されます。

治療以外にも注目すべきは、それらの経験をまとめ、UPDATEとして、学会や論文、またはインターネット等で全国に配信していることです。決してメジャーではないけれども、しかし救急では外せない熱傷を、症例が多いことからある意味「使命」として発信する姿は見習うべきところかと思います。他院で働くことで、改めてHEMCでは重症外傷が集まる病院と痛感し、私たちにも貴重な経験を形にして発信する必要があるのでは、と思います。

また、中京病院の熱傷治療は、当初から計画されたシステムというよりは、日々の治療から少しずつ改善を重ね、症例を積み重ね改良されたものと思われます。「熱傷治療の成績は、施設としてのチーム力、総合力を表す」と言われ、手のかかる熱傷ですが、ところどころ面白みを感じる部分があるはずですので、一緒にHEMCでの熱傷治療を盛り上げられたらと思います。

私生活に関しては、病院より借りた一軒家で過ごし、救急科の先生らとは飲んだり走ったり(ハーフマラソンに2回参加しました)と楽しく過ごすことができました。名古屋めしは一通り食べ尽くしましたが、おすすめは下記の写真の台湾まぜそば、ぺペロンラーメンです。ぜひご賞味を!

また機会をいただき、熱傷のことを話す場があるかと思いますので、そこで実際の治療内容(Ver.5)をお話しする予定です。このような貴重な機会をいただき、未熟かと思いますが、HEMCに還元できればと思います。今後ともよろしくお願いします。