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当センターの診療体制と救急部の位置づけについてご説明します。
当センターは平時は高度救命センターとして神戸・阪神・東播磨の広域から最重症の救急患者を受け入れています。
センターには救急部以外にも外科・心臓外科・脳神経外科・整形外科・形成外科・循環器内科など各科医師が配置されていますが、彼らが隣接する神戸赤十字病院の専門診療科医師を兼務しているのと違い、救急部医師はセンター専従です。
救急部スタッフ医師はそれぞれ外科・整形外科・麻酔科・放射線科・循環器内科などのサブスペシャリティを活かして搬入後の手術やカテーテル治療を術者として担当し、引き続き主治医としてその後の入院治療をセンター退院まで担当します。
もちろん神戸赤十字病院との連携、各科専門医のバックアップもあり「何でもかんでも自己完結」などと大ボラはふきませんが、外傷・中毒・熱傷など救急ならではの疾患群はもちろん、敗血症・多臓器不全などの重症病態に対しても病院前を含めた初期治療→手術・麻酔→集中治療まで救急医が一貫して行っています。心筋梗塞や大動脈解離、脳卒中などの重症疾患では各科専門医が治療のリーダーシップをとり、救急医は全身管理をサポートします。
神戸市内には神戸市立医療センター中央市民病院というER型救命センターがあり、さらに1-2次救急を担当する神戸赤十字病院の救急外来がセンターに隣接しているという恵まれた立地条件のおかげで、当センターは独歩来院やかかりつけ対応は一切なし、救急車も原則として3次選定症例に限定という、まさに最重症患者に特化したシステムで運用されています。
そのため、搬入症例数は年間1200例と決して多くはありませんが、外傷症例がおよそ500例と割合が高く、さらにISS≧16の重症多発外傷が250例前後と極めて多いのが特徴です。この数字は米国レベルⅠトラウマセンターの要件を満たし、国内有数の症例数です。
これらの最重症の患者に対して、一刻をあらそう救命のための決定的治療、例えば最重症の外傷患者に対する手術室直接入室、Damage Control Surgery、Massive Transfusion Protocolなどの外傷治療戦略や、心室細動を呈する心肺停止患者に対するカテーテル室直接入室・人工心肺を用いたECPRなど、当センターならではのシステムを最大限に活かして、我々は救急医療の最前線で救命限界に挑戦しています。