医師・研修医の方へ:スタッフ紹介

副センター長兼整形外科部長からのご挨拶

兵庫県災害医療センターのHPを訪問していただき、ありがとうございます。

兵庫県災害医療センターは、阪神淡路大震災の教訓から、兵庫県が設置している本邦唯一の公立災害医療センターです。災害時には隣接する神戸赤十字病院とともに、災害医療の司令塔である基幹災害拠点病院としての使命が期待されています。平時救急においては、県内唯一の高度救命救急センター認可を受け、地域救急医療の最後の砦としての機能を果たしています。

救急医療に絞って概要を紹介します。当センターは病床数30を擁する重症特化の独立型救命センターです。ドクターカー出動約300件を含む年間約千例の搬入のうち、4割強が外傷で、脳血管障害・循環器疾患がこれに続き、隣接する神戸赤十字病院各診療科の全面的協力をいただきつつ対応しています。入院する全症例には救急部医師が担当として診療に関与し、いわゆるClosed ICUに近い体制をとっており、専門科との連携は良好です。

臨床活動上の特長は、主に外傷に対するHybrid ER診療、ならびに院外心肺停止に対するECPR(Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation)と引き続くTTM(Target Temperature Management:体温管理療法)です。

外傷症例の過半数はISS16以上の重症で、PTD(防ぎ得た外傷死亡)の撲滅と予測外生存症例(予測生存率50%以下の救命例)の更なる増加に取り組んでいます。Hybrid ERとは、CT、血管造影、蘇生手術を患者移動なく行える救急初療システムで、我が国では6番目に完成しました。このHybrid ERと専用ORを、小回りの効く小規模施設の特性を生かして最大限活用し、整形外科、脳神経外科手術とともに救急部内のAcute Care Surgery グループが体幹外傷や急性腹症に対する緊急手術を担当しており、年間約150件程度の手術を遂行しています。

ECPRは循環器内科の協力下、十年以上の実績があり、累積症例は百を超えました。これは国内でも屈指の症例数で、殆どの症例においてTTMが実践されています。これらの複数診療科・多職種が関与する集学的治療により、約4人に1人が神経学的に大きな障害を残すことなく退院されています。これは院外心肺停止における平均的な社会復帰率を大きく凌駕しています。

近年は教育研修、学術活動にも力を入れており、DMAT研修はもとより、広範な領域の学会・研究会、地域MCや外傷に関わる研修会等に非常にアクセスしやすい環境です。その結果2018年の学会発表は100件を超え、その1/4は国際学会、出版論文は16本、うち英文が6本という業績を残すことができました。

このような恵まれた環境の下、地域の皆様には高度救命救急センター、基幹災害拠点病院としての使命を遂行し、修練医の方にはCritical Care全般に関わる充実したトレーニング、更なるキャリアアップを目指す方には、専門的学術経験を提供できると確信しています。兵庫県災害医療センターを是非よろしくお願いします。


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