災害医療支援活動

パキスタン地震(パキスタン地震に対する救援報告)

谷本裕幸(事業課長)/ 富岡正雄(救急部長)
日野文子(看護師)/ 山本ゆり子(看護師)

このたび、HuMAの一員として、パキスタン北部大地震の医療チームに参加してきました。1年前に、スリランカに国際緊急援助隊として参加していますので、その違いを中心に報告します。

GOとNGOの違い

国際緊急援助隊は、急性期に出発する日本国政府のチームであり、成田空港にはたくさんの報道陣がつめかけ、取材もたくさんされました。新聞やテレビにもたくさん報道されましたが、今回は、ゼロでした。

急性期と復興期の違い

震災から1ヶ月以上たっていますので、パキスタン自体も落ち着きを取り戻し、また、色々な国の援助が入っていました。記録をみると、最初の1ヶ月は自分の診療所をもたずに、突然やってきて、しばらく活動した後、またどこかへ行ってしまうようなチームがたくさんあったようです。1ヶ月を過ぎると、たくさんのメンバーで、手術も出来るような診療所もたてて活動するチームが出来ていました。我々のいた小さな村でも、7つのチーム(HuMAも含む)がありました。

国の違い

パキスタン北部はとても寒いところで、夜はブルブル震えながら、帽子にマフラー、災害医療センターの防寒着、寝袋2重、身体にホッカイロを貼りつけ、登山用のテントに寝ていました。蚊に悩まされながら、半袖で暮らしたスリランカが天国に思えました。

震災の違い

スリランカは津波の時の切り傷や深い傷が多かったのですが、パキスタンは、石造りの家が壊れた時の怪我が多く、骨折がたくさんいました。緊急援助隊がレントゲンを持参していってとても役にたったと思います。

宗教の違い

パキスタンは厳格なイスラム教国なので、お酒は飲みません。いくときの飛行機の中で、ブランデーを一本買い込んで、それを寝る前にちびちび飲んでいました。それでも特に困ることはありませんでした。
しかし、通訳達から聞いた、あまりに厳しい宗教の掟に、複雑な心境を感じました。他の宗教とは、絶対に相容れない強さがあり、国際社会の難しさを感じました。

ミーティングの違い

スリランカのときのような急性期には自分たちの活動をすることが精一杯ですが、今回のように復興期になると、各種会議がたくさんあります。毎日のように集まり、色々なうち合わせをします。軍関係者がどのような行動をしているのか、国連やWHOがどのようにかかわっているのかがなんとなくわかりました。医療以外のことが勉強になりました。

以上、スリランカとパキスタン、急性期と復興期、津波と地震と違いを中心に書きましたが、共通することも多く、その双方を知った上で、さらなる災害医療に取り組みたいと思っています。快く送り出してくれたセンターの皆さまに感謝します。


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