災害医療支援活動

JR福知山線列車脱線事故

災害医療センターのドクターカー、救急医療システム大活躍!

4月25日月曜日 9時18分、JR福知山線塚口駅―尼崎駅間で列車脱線事故が発生。尼崎消防局からのドクターカー出動要請により現地へ。阪神間の多数ある医療機関で、派遣一番乗りを果たしました。現場では、小林医師の指揮下でセンタースタッフ、駆けつけた医療機関がトリアージ等を行いました。

一方、救急医療システムにおいては、尼崎消防局から「緊急搬送要請」により、関係者は情報指令センターに参集。センターの患者受け入れや災害拠点病院への連携をとるなど、この度の災害において重要な役割を果たしました。

ドクターカーは3回に渡り出動し、中山医師を含めたクルーは、翌朝まで活動を継続しました。患者搬入は、ヘリコプターにより4名の方が搬送され、うち1名は治療後、神戸赤十字病院に転院した。

※センター職員の皆さま、DRカースタッフ、情報指令室のスタッフの方々ご苦労様でした。

時系列にみる“HEMCの動き”

JR福知山線列車脱線事故のHEMCの医療救護活動等概要について、時系列にみる“HEMCの動き”をご紹介します。

4月25日(月) HEMC 主な動き

09:18頃事故発生
09:35尼崎市消防局からHEMC情報指令センターに ドクターカー要請が入る。小林Dr・川崎Dr・福本Nr・安井Ns・ 救命士2名・田中運転手が現場に向かう。
09:35尼崎市消防局から情報指令センターへ「緊急搬送要請」が入る。
【緊急搬送要請内容】
JR福知山線尼崎~塚口間の踏切付近で列車と車両の衝突事故。負傷者30~50名程度。
09:47院内放送により関係スタッフが情報指令センターに集合。
09:48HEMCとしての患者受入について協議(5名程度受入可)
09:50幹部、医師、事務数名を残し、一旦解散。初療では、患者受入の体制を整え、スタッフの役割分担を行う。
10:00小澤センター長が大阪府立急性期・総合医療センターの池内Drに受入可能病院の調査を依頼する。
10:01ドクターカー現場到着。指示本部へ到着報告後、小林Drの指揮の下、トリアージ及び治療を開始する。現場では、既に尼崎消防により線路西側にテントが設定。当初はその場所でトリアージを行う。既に多数の負傷者がテント周辺に寝かされている状況で、軽症者は近くの工場敷地内に誘導され、テント周辺の負傷者は赤タッグ、黄タッグが混在していた。
10:10情報指令センターから、災害拠点病院である宝塚市立病院、尼崎市内の病院に対して、受入情報入力を督促する。
薬剤課は初療室・オペ室・カテ室の数配置薬品の補充や点検を行う。
10:20救急ヘリ搭乗の医師、看護師の準備・待機
10:30頃~現場では漸次、兵庫医大、神戸中央市民、県西宮、千里救命などの医療チームが到着。小林Drは医療統括を行う。

懸命の処置を行う福本、安井Ns
10:42尼崎市消防局から緊急搬送要請第2報が入る。
10:56救急ヘリ 宮本Dr、大西Nsをピックアップ
11:07現場へリポートの宮本Drからヘリ搬入の依頼が入る。
11:09尼崎市消防局から緊急搬送要請第3報が入る。ICU、HCUでは素早いベットコントロールが行われる。
11:14ヘリ搬送あり (一人目-男性)
11:15宮本Drからヘリ搬入の依頼が入る。遅出初療スタッフが1時間早く出勤。

現場の様子を見る川崎Dr(左から2人目)
11:25宮本Drから現場状況報告。(重症はほぼ搬送済み。中等症の負傷者20名ほどがトリアージポストに残っている)
11:25ヘリ搬送あり (二人目-女性)
12:03ヘリ搬送あり (三人目-男性)
12:10情報指令センターの中山副センターから赤穂中央病院曲渕Drへ連絡。
(尼崎中央病院へ応援に行くよう依頼)

レスキュー隊による救助
12:48小林Drから現場状況報告。(現在トリアージポストは負傷者なし)
13:48情報指令センターから緊急搬送要請を入れる。(災害の概要、病院の患者受入状況、連絡地域等の状況提供)
14:27ヘリ搬送あり (四人目-男性)
14:38ドクターカースタッフから、現場の宮本Dr、大西・安井Nsが引上げる旨連絡がある。
14:38宮本Dr、大西・安井Nsがドクターカーにて帰院。
16:00情報指令センターから緊急搬送要請を入れる。(尼崎消防からの最終報告が入り次第災害モード解除にする)
16:25小林Dr、福本Ns、救命士がドクターカーにて帰院。
17:05小林Drより現場活動状況の報告がある。

レスキューの状況を見守るスタッフ
17:33現場に残っていた済生会滋賀県病院の長谷Drからドクターカーの要請があり、中山副センター長、福本Ns、救命士が再度現場へ向かう。
18:42中山副センター長から現場は膠着状態の旨連絡。
19:20院内放送により関係者は情報指令センターへ集合(現在、4~5名の生存者が車内に残されているようだが、救出には時間がかかるので課長以下職員は解散)
20:30生存者は3名で、いずれもクラッシュ症候群が懸念され、収容先では集中治療が必要となることが予想される。
23:30生存者の女性に輸液路確保する。

夜通し行われた負傷者の救助

4月26日(火) HEMC 主な動き

01:25生存者の男性に輸液路確保する。救出後、悪化
08:33情報システム 緊急搬送要請モードの解除
09:30中山副センター長から現場撤収の旨連絡。
09:30中山副センター長、福本Ns、救命士が帰院。

この度は、「フェーズ0」の初期段階からドクターカーが現地に駆けつけ、各医療チームとの連携で本格的な医療活動が行われました。これは、日本では初めてとのことです。

また、情報システムの「緊急搬送要請モード」が稼動し、神戸、阪神地域の病院端末のアラームが鳴り、患者受入可能人数の入力を呼び掛けました。今回の教訓を基に、更なる初動体制の強化を2重・3重に図る必要があります。

最後になりましたが、この事故でお亡くなりになられた107名の方のご冥福を心からお祈りいたします。


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