HEMCでの収穫
研修医 木原伸介(県立淡路病院より)


群馬の魅力を語ってくれました。ここもかかあ天下ですか?
7月1日、オリエンテーション「HEMC医師業務御法度」から始まった3ヶ月は私にとって一生忘れられないであろうものとなりました。 外傷に興味があって学生の時分からこちらでの研修を希望しておりましたが、救急初療はもとより初めて経験するICU管理は、まさに右も左もわからない状態でのスタートでした。
高エネルギー外傷で、vitalは落ち着いているものの、腎損傷や肝損傷のある患者さん、「何でそこ折れているの?」と突っ込みたくなるような、受傷機転からは想像しがたい骨折をしている患者さんなど、今まで見たことのない外傷の患者さんもたくさんいて、2次救急で患者の主訴に重きを置いてきた自分にとっては驚きの連続でした。中にはショックで死の寸前という患者さんもいましたが、そんな患者さんが適切な治療を受けて無事に転院して行く姿は感動的でさえありました。
そういった激しい救急や治療もそうですが、なによりも印象に残ったのは、「本当にこの治療が妥当だったのか」「その治療にエビデンスはあるのか」といったことを全員が考え探求する姿勢がセンター内に満ちていることです。いくつも病院を見たわけではないですが、成長する組織、医師というのはこうやって積み重ねて立派になるのだなと感じ、研修医という時期、立場でそれを垣間見れたことがHEMCでの最大の収穫ではないかと思っています。
もっと勉強するべきだった、3ヶ月間もっと有意義に過ごせたはずだ、という後悔もありますが、それでもここでしか見れないことをいくつも体験させていただいたと思います。
病棟の看護師さん、初療の看護師さん、放射線技師さん、諸先生方、事務の皆さん、ご面倒おかけする研修医でしたが3ヶ月間ありがとうございました。ひょっとしたらまた何かで関わりを持つこともあるかと思いますがその時はよろしくお願いします。
アカデミックな災害医療センター
研修医 木西悠紀 (姫路循環器病センターから)


いつもニコニコ。テニス大会で優勝してくれました。
私の所属病院である姫路循環器病センターは、その名のとおり循環器系の救急がほとんどで、HEMCに来るまでは外因性疾患は全くみたことがありませんでした。それを経験し度胸をつけることが当初の目標でした。実際、3次救急現場は厳しいものでありプレホスの緊張感に圧倒され、ICUでは広い視点で物事を捉える難しさを感じました。また、日常診療のことはもちろん、プレゼンテーションの仕方や災害救急医療の事など思っていた以上に教育的な環境であることに驚きました。‘度胸をつける’事以上に自分に欠けていた‘アカデミックな部分’をトレーニングできた事が大きな収穫であった様に思います。自分の病院だけでずっと二年間研修していたらきっと知らなかったであろう事をこの三ヶ月間でたくさんみることができました。
限られた期間ではあり、実際の診療現場に生かせるレベルまでには到達できませんでしたが、HEMCで学んだことが無駄にならないようにこれからもがんばっていきます。
また、三次救急現場の現実を目の当たりにし、将来は麻酔科として集中治療・救急医療に携わっていきたいと強く思いました。最後になりましたが、この三ヶ月間温かい目でご指導いただきました事を本当に感謝しています。本当にありがとうございました!
必ず助けるんだ!
研修医 片岡裕貴(県立尼崎病院から)


見た目冷静、中身熱血のトラきち研修医でした。
私は県立尼崎病院で1年目の研修を行い、2年目の選択期間にHEMCでの研修を選ばさせていただきました。
HEMCを知ったそもそものきっかけは、昨年の8月に腹部大動脈瘤が十二指腸に穿通した患者さんを転院搬送したことでした。そのときには、なんて広い救急室なんだろう、なんてテキパキ動く人たちなんだろうとHEMCの初療室に圧倒されました。その後、12月にあった説明会で冨岡先生の話を聞き、、尼崎での救急研修に限界を感じていた私は、これは行ってみるしかないと1も2もなく選択しました。
来てみての印象ですが、全く外因性疾患を診たことがなかった私には、墜落や交通外傷の人たちは診療の埒外にあり、最初は何から手をつければいいのかサッパリ分かりませんでした。今から振り返ってみてもよく顔が引きつっていたと思います。
しかし、多くの先生方、スタッフの皆さんに時に厳しく、時に優しくご指導いただくことで、徐々に慣れていくことができました。
団体スポーツに通じる初療の動きや、開放創の管理、場面に応じたプレゼンなど、この3ヶ月で学べたスキルは数多くあります。しかし、他の研修医たちも書いていることですが、学んだ中で最も重要であったのは、どれだけ死に瀕している患者さんでも必ず助けるんだという姿勢であったと思います。
呼吸器内科を志望している私が、今後どれだけ外傷患者さんを診ることになるかは分かりません。しかし
ながら、HEMCで学んだ3ヶ月は私の医師としてのエートスに多大なる影響を与えました。この経験を糧に明日からの診療に生かしていきたいと思います。
末筆になりますが、諸先生方、コメディカルの皆さん、事務の方々、そして私が関わらせていただいた患者さん達に感謝の意を表してこの文章を終らせていただきます。
無限にあった学ぶべきこと
研修医 宇佐美綾 (神戸赤十字病院から)


塾長として、4人の研修医のまとめ役をしてもらいました。
災害医療センターで過ごした3ヶ月間はあっという間に過ぎていった。元々私は、2年前に研修先を決めるマッチングの時から災害医療センターでの研修を希望していた。記憶は曖昧だが、救急に興味があったこともあるが、HEMCを経験することで度胸がつき、何でもできるようになれるだろうと思っていたのだと思う。
実際3ヶ月の研修を終え、それは正解でもあり、不正解でもあった。確かにHEMCは他では経験できないような症例が集まり、一般病棟では修羅場といえる様な状態もたくさん経験した。特に私はICU管理も経験が無かったため、集中治療自体がとても刺激的で勉強になることが多く、非常に良い機会となった。しかし、度胸がついたかというと自信がない。
元々三次救急で搬送される患者であり、状態が重篤であり、また緊急で検査・治療を進めなければならないため、処置一つ一つが迅速で正確でなければならない。また、電解質・尿量・血ガス・呼吸器管理設定など細かい指標が少し外れることで患者の状態に大きな変化を及ぼすこともあり、度胸は付いたが、より一層の治療に対する緊張感も大きくなったと思う。
また、‘何でも診れる’なんてことはもちろん無く、毎日様々な科に亘る症例があり、この疾患に慣れたと思ったら、全く経験したことがないような疾患にあたり、目まぐるしい毎日であった。今から振り返ると、自分で足を踏み込めば踏み込むほど、学べることが無限にあり、もっと自分の担当外の患者についても勉強していけば良かったと後悔が残る。
3ヶ月間は災害医療センターに慣れ、一通りの疾患をみることができるようになるには、余りにも短かったという印象であった。今回の研修は自分にとって有意義であり、今後に役立たせる点がたくさんあり、充実した3ヶ月間であった。
同時に本当に忙しい中、研修医に対して教育してくださったスタッフの先生方、一番身近に相談させて頂いた専攻医の先生方、良き研修の場を提供させて頂いたコメディカルの方々に感謝し、今後の自分の糧としたいと思う。本当に有難うございました。