救急車同乗実習

救急車同乗実習を終えて

平成19年11月 

車内の点検を一緒に行う
消防服を着せてもらった♪
はしご訓練に「同乗」
どこまで上がるんや~
もう一度、消防服♪
楽しい消防署の方達
スタートダッシュが大切だ!
栄養も大切だ!

奥宮 雅代

11月22日、東灘消防署にて、救急車同乗実習に参加させていただきました。普段は、病院の救急外来にて患者さんの到着を待っている側ですが、今日は、病院の救急外来へ到着するまでが主な活動となりました。

非常に勉強になったと思うことは、3つありました。情報収集、臨機応変な対応、チームワークです。

情報収集は、現着まで、現場、搬送先へ到着までと各段階で非常に重要となっていました。最も難しいと感じたのは、現場での情報収集でした。まず、患者さんとその周囲にいる人物との関係を把握し、必要な質問をしていきます。迅速かつ正確で、驚きました。患者さんが意識清明であった場合、プライバシーにも配慮しつつ質問が行なわれていました。より早く、より正確な情報が求められている救急の現場ですが、患者さんへの配慮が欠かさず行なわれていたことが、大変勉強になりました。

また、現場では臨機応変な対応が非常に重要でした。11歳女児の血圧低下に対して、小学校から救急要請があった際、まず、医務室でvitalのチェックをし、緊急でないことを判断した後、すぐに救急車に移動するのではなく、十分に診察、問診をしたのち、救急車へ移動しました。医務室で、診察をすることで、正確に診察できる上、患者本人にも養護教員の先生にも安心感を与えていました。また、交通外傷の事例では、迅速に救急車内に移動し車内で診察を行いました。後で落ち着いて考えると、当然の対応のように思いますが、現場で、瞬時に判断するのは難しいことだと思いました。経験と冷静な判断によって行なわれていると、感じました。

また、救急隊の方々のチームワークは、救急の現場で欠かせないものでした。3人の救急隊の方々はそれぞれ分担して、現場の対応にあたっておられましたが、コマンダーとなる1人と他2人の方との間での情報交換がとてもスムーズでし。救急の現場で、現在の状況とこれからの計画を3人が、常に確認し、声に出して情報を共有することで、搬送がとてもスムーズに進んでいました。それぞれ、自分のすべきことを把握されており、迷いなく瞬時にとりかかっておられたので、無駄を感じませんでした。

1日体験させていただき、病院搬送までの過程は、思っていた以上に大変でした。上記3つのほかに、救急隊員の方と、病院で引きつぐ病院スタッフとの間の情報交換も、非常に大切だと感じました。救急隊員の方々は、現地から病院に来るまでの間、様々な情報を入手されており、その情報を病院の医療スタッフが短時間で共有できるよう、お互いに積極的にコミュニケーショをはかっていくことも大切だな、と思いました。東灘消防署の方々には、お忙しい中、貴重な時間を割いてくださり本当に感謝しています。1日という限られた時間でしたが、大変貴重な経験をさせていただきました。

横山 祐二

私は、11月16日9時から17時までの東灘消防署にて救急車同乗実習をさせていただきました。実習中に4回の出動要請がありました。最初は点呼から始まり、その後に救急車の整備、医療用具の点検を行い、さらに消防署内を紹介していただきました。

出動の際にまず感じたのが、出動要請を受けてから現場到着までのあまりの無駄のない行動と、救急隊のチームワークのよさに驚きを感じました。現場の住所を地図で把握し運転する隊員への指示、さらに隊長の現場についてからの発症状況、もしくは事故発生状況の把握、そこからの車内への収容までのすばやさには感動を覚えました。その行動を目の当たりにし、なんとしても邪魔だけはすまいと心掛けました。

また救急車内搬入後の病院交渉も直に見せていただきました。4回の出動要請のうち、1回目の病院交渉で病院決定したのは1回でした。その初回交渉で病院決定した病院が、神戸赤十字病院でした。それも救急当番が寺井先生でした。すごく嬉しかったです。

救急隊の方からは、現在の神戸の救急医療に関しては多科にわたる症例ではまず中央市民、神戸日赤から病院交渉を始めるとおっしゃっていました。神戸の救急病院はどんどん手を引いていって、なかなか初回交渉で受け入れてもらうことが困難になってきているともおっしゃっていました。兵庫県病院協会の会報にも掲載されていたように神戸に二次救急は崩壊しつつあるという実態を救急車実習でも実感することが出来ました。

また実習中に感じたのが救急搬送中の周囲の一般車輌のあまりの道の譲らないことに驚きを感じました。一般車数台が停止せずに救急車が右折待ち、救急車の目の前を高校生が集団で横断といったことがありました。救急医療がマスメディに厳しく非難されている今日においては、一般の人にも意識してもらわないといけないのではないかと感じました。実習中にも救急隊の方も同じようなことをおっしゃっていました。

普段は救急搬送を受け入れる側で働いているので、搬送する側での実習では違った視点から救急医療を見ることができ非常に勉強にもなりましたし、非常に新鮮でした。

実習を引き受けてくださった東灘消防の方々には非常に感謝しております。ありがとうございました。

北田 真平

去る11月22日、神戸市東灘消防署にて救急車の同乗実習に行ってまいりました。学生時代に2週間、救急車同乗実習を経験しましたが、医師になっても救急車に同乗できるとは思ってもみませんでした。 

私の実習日では、計4件の出動がありました。その中で印象的だったことが2点あります。

まず、1点目は救急隊の病院選定が予想以上に大変だという点です。私が同乗した症例でも、3つの病院に断られ4つ目に連絡した病院でやっと病院が決まったという症例がありました。その間、救急車は現場に留まらずを得ず、20分くらいのタイムロスがありました。軽傷例だったので、事なきを得ましたが、これが重傷例であれば時間の経過と共に、患者さんの容体も予断を許さないものになります。私は、救急車を受け入れる病院側の人間ですが、同乗して初めて病院選定の大変さと受け入れ先が決まらないことの重大性を思い知ることができました。 

次に2点目です。今回、幸か不幸か、心肺停止症例にも遭遇することができました。その際、現在の日本の病院前救護体制では、心肺停止症例に対する処置・連絡体制が煩雑であると感じました。まず、心肺停止であることを医師に連絡し、その後気管挿管、静脈路確保、薬剤投与等の特定行為の指示を受けます。私が問題と感じたのは、救命士が特定行為を行う際、「今から薬剤を打ちます」、「漏れなく順調に滴下しています」などリアルタイムで報告しなければならない点です。心肺停止症例では、人手もかかり医師と連絡を取りながら処置を行うことは手間がかかります。もう少し、現場の負担を減らすことができるのではないかと思いました。 

以上が今回の実習で感じたことです。しかし、何よりも実習に行って良かったと思うことは、救急隊の方々と膝を突き合わせて、話が出来たことです。救急隊の方々が、普段苦心されている点、医者にはこうあって欲しいという要望など、なかなか聞くことのできない話を聞くことができました。救急隊と医者は密接に関わっていかなければならない間柄であり、救急隊の生の声を聞けたことは非常に大きな収穫でした。 

このような機会を与えて下さり、ありがとうございました。

井上 明彦

平成19年11月27日

これまで消防署見学はしたことはありましたが、救急車の同乗実習は初めてだったので、今回の実習はかなり楽しみにしていました。当日は朝礼のあと、まず車内の点検から始まりました。東灘署のスタッフの方はとても親切で、説明も丁寧にしていただきました。その後は、署内で待機し出動を待つことになりました。その日はちょうどハシゴ車の訓練もあったので、私も乗せてもらうことになりました。高さ約30mの景色は絶景、と言いたいところでしたが、微妙に揺れるし、やや古い消防車に信頼できず、さらには高所恐怖症ときたので下を見る余裕はまったくありませんでした。で、肝心な救急車の出動は、待てども待てどもなかなかありませんでした。ハシゴ車に乗りに来たみたいだなと思った終了時間もいよいよ迫った16時過ぎにようやく一報が入り出動へ。自宅で椅子より転落した独居の方でした。狭いところでしたが、迅速な行動で搬出も早く、かかりつけ医もいたので病院選定も少し待ちましたがスムーズでした。結局この一件のみでしたが、貴重な一件でした。あやうくハシゴ車実習になるとこでした。外傷や緊急性のある出動を期待していましたが、搬送までの流れを実際に見ることができたのはとてもいい体験でした。そして救急隊の方より病院選定の難しさの話なども聞けたのも良かったです。欲を言えばもう一度実習に行かせてもらいたいと思いました。最後に、東灘署の方々には大変お世話になりました。明るい職場で楽しかったです。

ありがとうございました。

松森 響子

平成20年2月6日に兵庫消防署にて救急車同乗実習をさせて頂きました。救急隊の方々は24時間勤務ということでしたが、私は日中の9時から17時まで実習させていただきました。その8時間の中で8件も出動があり、本当にあっという間の実習でした。兵庫消防署は神戸市内でも一番出動回数が多く、一日平均10回程度ということをお聞きしていましたが、予想以上でした。学生時代にも同乗実習を体験したのですが、医師になってから同乗させていただくと、また新たな事を感じることができました。いつも救急外来などで受け入れる側の立場でしか見えてこなかったことが、搬送する人の立場や色々な苦労が感じられました。救急車内や野外での診察は普段静かな病室でするよりも困難ですし、モニターや検査も限られており、知りたい情報がすぐに手に入るわけではなく、時間を割くことなくある程度疾患を予想し、病院を選定するのは非常に困難であると感じました。そんな中でも救命士の方々は手早い処置、搬送や病院手配の連絡など本当に無駄がなく感心しました。また、もう一つ感心させられたのは、そのように忙しい業務の中でも患者さんの訴えに耳を傾け、少しでも不安を解消していこうという優しい姿勢が印象的でした。日常業務の際、ついつい患者さんの話をゆっくりと聞かずに検査に走ってしまっている自分がとても恥ずかしく思えました。

また、兵庫区の特色なのか、福祉関係の事例や高齢の独居の方の事例が多く、医療と福祉の連携の需要はとても増加していることを再認識しました。我々は病院に来られる前の患者さんのことはほとんど知らず、生活の場面を見る機会も非常に少ないですが、患者さんが病院におられる期間は限られた時間であり、本当の医療というのは病院から出た後の生活を考えて行っていく医療だと感じました。今年はとても寒く、当日も小雨が降っていて外は大変寒かったのですが、訪問した家で何件かせんべい布団だけで寒さをしのいでおられる場面などが見られました。衛生環境も決していいものだと言えない住居の方もたくさんおられ、何らかの福祉制度を使った病気の予防策が必要であると感じました。

今回の出動では全部初回で交渉成立し、スムーズに受け入れて頂くことができました。しかし、救急隊の方のお話では、報道などで言われるように救急患者の受け入れはここ最近とても厳しくなっているとのことでした。その原因は病院の数が減っているからとのことでした。これから集中する病院には救急が集中することが予想されますが、自分が受け入れの立場で受け入れられる環境がある場合は快く引き受けたいと思いました。

今回の実習では本当に救急隊の方々に見習うべき点や感心させられる点が多くありました。また、考えさせられる事例もたくさんあり、今後の医療にいかしていけるように努めていきたいと感じました。最後になりましたが、兵庫消防署の方々にはお忙しい中、大変貴重な体験をさせて頂きまして非常に感謝しております。ありがとうございました。

片嶋 有希

今回兵庫消防所において、朝9時から夕方5時までの救急車同乗実習を経験させて頂きました。学生時代を通しても同乗実習を経験したことがなく、期待でいっぱいの気持ちでこの日を迎えさせてもらいました。今回の実習期間での出動回数は3件と少なかったですが、症例の紹介と、私の率直な感想をまとめさせて頂きます。

#1.78歳 女性 脱力発作・意識消失

近隣のスーパーにて買い物中、脱力感を呈してベンチに腰かけた。その後意識消失をきたしたとのこと。救急隊到着時腹臥位の状態であった。ABCD問題なく、麻痺なし。既往に不整脈あり、フォロー中とのこと。循環器当番病院、脳外科当番病院、かかりつけ病院問い合わせたが搬送受け付けられず、西市民病院へ転送。

#2.76歳 女性 気分不良・意識消失

近隣老人施設にて気分不良訴え嘔吐。その後一時的に意識消失があったとのこと。救急隊到着時、意識清明。本人搬送拒否あり。

#3.75歳 男性 転倒・意識障害

昼13時頃ヘルパー訪問時、腹臥位にて床に倒れているところを発見。救急隊到着時ABC問題なし。レベルはJCS3程度。両下肢麻痺あり。搬送中に意識レベルJCS一ほどまでに改善したが、構音障害は認めた。脳外科当番病院に問い合わせたが搬送拒否され、新須磨病院へ搬送。

この実習を通して感じたことは大きく3つあります。1つはまず消防所内に入った際の第一印象として、体育会系の男性的な職場であるということです。隊員は皆男性で、雰囲気が大変活気に満ちており、現場での行動一つ一つに無駄がなかったです。2つ目としては、常々思っていることですが、どの医療従事者よりも先に患者と接触し、状況と救急レベルの判断を真っ先にせねばならないというのは大変な知識が必要であり、難しいことだと感じました。今回の症例では1つ目の症例がそれに当たるかと思います。そして3つ目としては、なかなか受け入れ先が決まらない、という状況についてです。普段は受け入れる立場にいる者としては、病院側の断る理由もよくわかります。今回の症例でも、満床である、うちの分野ではない、などの理由での断りが多かったのですが、実際に救急車の中でその状況を目の当たりにすると、いたたまれない心境になりました。病院の体制の問題であったり、ベッドコントロールの問題で受け入れられないことは致し方ないとして、少なくとも自分の力量不足で受け入れを拒否せねばならない医師にはなるまいと強く感じました。

今回のけいけんを通じて、近い将来救急の窓口に立つ際にはこの日のことを心に留めて診療にあたっていきたいと思っています。貴重な経験を与えてくださった病院関係者の方々、兵庫消防所の方々に感謝します。有難うございました。

までが早い!90番が光ればとにかく救急車に乗り、救急車内にいる短い時間で情報を集め、住所だけを頼りに最短距離で現地に向かうというシステムは、非常によくできていると感心した。

永吉 直樹

(1) 出動内容 合計3件

♯1 89歳女性 【覚知】9:43【現着】9:46【主訴】転倒【現病歴】買い物に行く途中に風邪にあおられ転倒、通行人が通報【既往歴】高血圧、右上腕骨骨折、胸椎圧迫骨折、右大腿骨頚部骨折、骨粗鬆症等【身体所見】意識清明、血圧215↑/108↑mmHg、脈拍76/分、Sat99%(室内気),左大腿の疼痛あり大腿の回旋伸展不可【転帰】左大腿骨骨折の疑いにてかかりつけの佑康病院へ搬送

♯2 70歳男性 【覚知】13:41【現着】13:43【主訴】腰痛【現病歴】独居であり、腰痛もちであるがADLに問題はなかった。数日前にも腰痛で神戸日赤病院に搬送されたが加増上骨折所見なく当日帰宅されていた。本日昼頃より腰痛が再発、起き上がれなくなり近所の人が通報【既往歴】肝硬変にて内服加療中【身体所見】意識清明、血圧197↑/110↑mmHg、脈拍96/分、Sat98%(室内気)、腰痛あり、下腿麻痺なし【転帰】急性腰痛症の疑いにて、肝硬変でかかりつけの川崎病院へ搬送

♯3 56歳男性 【覚知】16:30【現着】16:33【主訴】意識消失発作【現病歴】銭湯で入浴中に意識消失しているところを近くの人が見つけ、2人で風呂場から引き上げた。けいれん様の動きもあったという。銭湯の女主人が通報。【身体所見】現着時はGCSE4V5M6、血圧120/60mmHg、脈拍64/分、Sat98%(室内気),瞳孔は正円同大対光反射あり、両上下肢に麻痺なし 【転帰】一過性脳虚血発作の疑いにて、吉田病院へ搬送

(2) 感想

覚知から現着までが早い!90番が光ればとにかく救急車に乗り、救急車内にいる短い時間で情報を集め、住所だけを頼りに最短距離で現地に向かうというシステムは、非常によくできていると感心した。出動件数は少なかったものの、救急車のサイレンを聞きながら患者さんのもとへと向かう間はアドレナリンが一気に分泌されて楽しく、出動の緊張感は十分に味わえた。1人で生活する老人は病気、怪我に会うリスクが極めて高く、家族、地域、社会のさらなるサポートが大切だということを改めて体感した。実際に救急車で患者さんのもとへ行ってみれば、救急要請された患者さんのうち救急車での搬送が必要なほど重症な患者さんの確率は非常に低い。現場に行ってみるまでは患者さんの状態が分からず救急車が必要か不必要かの線引きが難しいところではあるが、限られた数の救急隊員、救急車という医療資源を本当に必要とする人に必要なだけ活用することができるように、何か新たな方法論が必要であると感じた。

備後 真登

5月14日に灘区救急隊の救急車同乗研修に行かせて頂いたので、その報告をします。

普段は救急隊の日勤帯の出動は3~4件程度と伺いました。今回は2件と平均よりは少なめでしたが、1件は内科疾患と思われるCPAがあり、もう1件は外傷と内容も重複せず、また1件1件の出動・現場活動中も、救急隊の現場活動や救急車内での活動などについていろいろお話して頂きました。休憩中も世間話を交えながらも救急搬送に対する各々の病院の対応の問題などについてもお話して頂き、大変勉強になりました。

1件目の老人ホームでのCPA症例を中心に話すと、前情報では「ご飯を食べているときに喉に少し詰まらせたようだ。呼吸はしている」とのことでしたが、現場へ行ってみると顔面蒼白で呼吸は停止しており、モニターECG上もPEAでありすぐにCPRが必要な状態でした。特定医療行為を含む迅速な対応を行い、かかりつけである中央市民病院へ搬送されましたが、結局は以前から指摘されていた大動脈解離の胸腔への出血によるショックという診断で永眠されました。この症例を通じて感じたことは、医師の救急隊員に対する言動・態度の不適切さです。中央市民病院のある医師からは、現場の最寄りが日赤であったこともあり、「日赤でよかったんちゃうん?」といったことや、静脈路の確保についても「もっといい血管なかったん?」などの文句を言われていました。現場から同行していた自分としては、救急隊員の方々が、なるべく短い時間で全身の評価と適切な処置を行い、overtriage、undertriageをなるべく少なくすることも考え、どれが適切な病院かと悩みながら選択する姿も見ていましたし、結果的にそれが間違いではなかったとも思いました。また、なるべく早く現場を出発したいという気持ちがあり、車内の揺れが激しい中で静脈路を確保するということも大変難しいことであり、それに対する上記のような医師の発言は不適切であると思いました。普段は見ることのできない「救急隊からみた医師の姿」を見れたことはいい経験であり、またこれを反面教師として自分の今までの行動を振り返り、今後に生かしていければと思いました。

またこの老人ホームは看護師が常勤しているのにも関わらず、以前も明らかに呼吸停止がある状態であるのに酸素マスクのみが装着されている状態でCPRがされていなかった症例もあったそうです。それに対し救急隊員の方々は、「一度あそこでは急変時の対処法についての講演を行った方がいい。今度企画しよう。」とおっしゃっていました。地域での積極的な啓蒙活動など、少しでも救命率を上げたいと願う姿勢には見習うものがありました。

1日という短い時間でしたが、大変親切に丁寧に接して頂き感謝しています。今後来る研修医にもこの研修は必ず勉強になるので続けて欲しいと思いました。

杉山 あずさ

実は、医学部の5回生の時も救急車に同乗する機会があったので、今回で2度目の同乗実習でした。しかし前回と違い、今回は救急医療の実際を経験した上での実習だったため3年前とはまったく違ったものとなりました。

実際の現場活動を見て一番痛感したのは、仕事量の多さです。現場では患者さんの緊急性の把握、病歴聴取、住所、家族の連絡先の確認、通報人からの情報聴取と並行して、受け入れ先の病院を探しかつ迅速に搬送することが求められていました。しかもそれをほぼ同時にしなければならない。実際、3人の救急隊だけでは人数が足らないのではないかと思うくらい搬送時にしなければならないことは多いのですがそれをスムーズに行い、現場から病院での治療につなげる隊員の方たちの動きに感銘を受けました。

また、原付とタクシーの接触事故の現場では、原付運転手をバックボードに固定して搬送しようとしたのですが腰痛の訴えがひどく、仰臥位を取れずに断念せざるをえませんでした。また下半身を痛みのために動かし頸椎保護をするのが困難でした。基本を踏まえながら現場に応じた対応をしなければならないなと感じました。

正直に白状すると、今まで救急隊員の方たちを「患者さんを運んでくる人たち」としかとらえられてなかった気がします。しかし、隊員の方たちは医療従事者であり、患者さんの病態をアセスメントしある程度トリアージをかけて搬送先を決めているのだなと今回の実習を通して理解できたと思います。

すこし救急車には酔いましたが、有意義な実習ができました。これからも現場から、救急隊そして病院のスタッフへのバトンの受け渡しをスムーズなものにし一人でも多くの患者さんを救えるように頑張っていきたいと思います。

最後になりましたが、このような機会を与えてくださった神戸市消防局長、灘消防署の救急隊の方々に感謝したいと思います。

高田 裕

感想:

私自身、救急車への乗車経験がなく、この実習が初めての機会となりました。実際に出動し、現場で最初に患者と接触して状況を把握し、応急処置をして受け入れ病院の選定、搬送するという一連の流れを初めて拝見させていただきました。1小隊3人という少人数ながら、的確かつ迅速に対応されていました。

救急車内搬入後も、痛みに苦しむ患者から目を離すことなく観察されている姿がとても印象的でした。

滅多にないことだそうですが、午前中は救急要請が一件も入らず、ゆっくりとしたペースで時間が流れていました。しかし要請が入ると出発までに要した時間は30秒程度と、その機動力の高さにも大変驚きました。

また、病院で搬送されてくる患者を待っている医師としての立場ではなかなか感ずることのできない、患者の状態把握や受け入れ先の病院選定の苦労など、救急医療の入り口を担っている救急隊の方々の視点から、救急医療の難しさを直接お聞きできました。

一日という短い期間ではありましたが、非常に貴重な体験をさせていただきました。こちらの疑問にも親切にお答えいただき、本当に有意義な時間を過ごせたと思います。

今後もこの経験を活かし、広い視野をもって救急医療に携わっていきたいと思います。


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