災害時の医療情報システム
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災害時の医療情報システム
広域災害救急医療情報システム・緊急搬送要請モード
情報指令センター室長
中山 伸一
兵庫県では、阪神・淡路大震災での教訓から、全国に先駆けて平成8年(1996)にシステムを導入しました。2004年5月31日現在、参加機関は、292医療機関、38医師会、32消防機関、30健康福祉事務所など計426施設となっています。
年に1〜2回、いわゆる災害モードで入力訓練を実施してきましたが、地震のような広域災害を想定している災害モードへの移行は「敷居が高い」こともあってか、これまで実際に災害モードが発令されたことはなく、また実際に広域災害が起こったときの入力率は未だ不明です。
一方、日常、頻繁に起こっている多重衝突事故や集団災害での対応では、消防・救急隊などの傷病者搬送組織と医療機関の間に認識の差やタイムラグを生ずることがしばしば経験されました。その結果、現場に近い医療機関に多数の傷病者を搬送せざるを得なかったり、医療機関はその対応に追われ、混乱から院内体制の構築や他の医療機関への情報伝達に遅れを生じるという悪循環を引き起こします。
そこで兵庫県では平成15年(2003)、災害モードより「敷居の低い」モードとして緊急搬送要請モードを誕生させました。最大の特徴は、傷病者の搬送機関である消防(救急)機関が直接モードを切り替え、要請できることです。すなわち、たとえば高速道路上の多重衝突やイベントでの事故など、一度に大量の(例えば10名以上)傷病者を複数の医療機関に搬送しなければならないと考えられる事案などで消防本部が発動します(その他、健康福祉事務所と医師会も要請可能)。
昨年度から抜打ちを含む5回の訓練と2回の実際の事故(バス・トラックの衝突事故と異臭騒ぎ)で、緊急搬送要請モードが発動された。医療機関の対応入力率はまだ十分満足できるものではありませんが、訓練と実地の回数を重ねるに従って向上してきています。
このモードにより、消防機関の中でスピーディに流れている情報が、医療機関にも即座に提供されることが可能となり、個々の医療機関での体制確立が早くなるメリットを医療機関も実感しているに違いありません。また、対応可能な医療機関が増加することにより分散搬送が容易になると考えられますので、救急隊も単に近い病院に運ぶのではなく、適切なトリアージのもと、過度な集中を避けながら適切な医療機関へ搬送することができます。
消防・救急隊からの情報によりすぐ医療機関の体制を切り替えることができる、より身近な情報ツールとして関係機関の積極的利用と対応を促進すべく、今後も訓練とシステムのバージョンアップを重ねていく計画です。
平成19年度緊急搬送訓練一覧表
| 回 |
日時 |
訓練機関 |
圏域 |
内容 |
| 1 |
8月26日 |
神戸市消防局 |
神戸 |
家屋倒壊、車両埋没等により負傷者が多数発生 |
| 2 |
8月28日 |
神戸市消防局 |
神戸 |
神戸空港に到着した航空機から黒煙が上がり、火災危険有。乗客は全て避難済みで負傷者無しであるが、今後負傷者が発生する恐れがある |
| 3 |
9月1日 |
姫路市消防局 |
中・西播磨 |
爆破テロと化学剤テロにより、多数の負傷者が発生したとの想定 |
| 4 |
9月2日 |
赤穂市消防本部 |
中・西播磨 |
山崎断層を震源とする地震が発生、西播磨地域で震度6強を観測、建物の倒壊による死傷者が生じたとの想定 |
| 5 |
9月13日 |
小野市消防本部 |
東播磨 |
中型バス、普通乗用車、軽自動車の3台が衝突し、多数の負傷者が発生したとの想定 |
| 6 |
9月15日 |
宍粟市消防本部 |
中・西播磨 |
中国自動車道において交通事故が発生し、多数の負傷者が生じたとの想定 |
| 7 |
9月22日 |
宍粟市消防本部 |
中・西播磨 |
中国自動車道において交通事故が発生し、多数の負傷者が生じたとの想定 |
| 8 |
10月25日 |
姫路市消防局 |
中・西播磨 |
山崎断層を震源とする震度6強の地震が発生、地震により工場の酢酸タンクから酢酸が漏洩。タンク及び洞道内で作業中の従業員が多数負傷 |
| 9 |
11月9日 |
高砂市消防本部 |
東・中播磨 |
マイクロバスを含む多重衝突事故が発生し、多数の負傷者が発生 |
| 10 |
11月10日 |
宍粟市消防本部 |
中・西播磨 |
大型ショッピングセンターで火災が発生し、逃げ遅れた者及び負傷者多数いる模様 |
| 11 |
11月17日 |
尼崎市消防局 |
阪神南 |
競技場で観客が将棋倒しとなり、多数の負傷者が発生した。死者もいる模様 |
| 12 |
11月29日 |
赤穂市消防本部 |
中・西播磨 |
山陽道で大型観光バスと普通乗用車5台が衝突、多数の負傷者が発生している模様 |
| 13 |
3月4日 |
宍粟市消防本部 |
中・西播磨 |
国道29号線で、歩行者及び車両3台の交通事故が発生し、多数の負傷者が発生した模様。 |
| 14 |
3月21日 |
神戸市消防局 |
神戸 |
神戸空港において航空機事故が発生し、多数の負傷者が発生している模様 |
平成20年度緊急搬送訓練一覧表
| 回 |
日時 |
訓練機関 |
圏域 |
内容 |
| 1 |
8月30日 |
西宮市消防局 |
阪神南・北・神戸
|
地震により多数負傷者が発生 |
| 2 |
8月31日 |
姫路市消防局 |
中・西播磨 |
運行中のバス内で化学剤テロが発生 |
| 3 |
9月1日 |
厚生労働省 |
全国 |
広域搬送に伴うEMIS訓練 |
| 4 |
9月8日 |
神戸市消防局 |
神戸 |
交通事故と加害で多数負傷者発生 |
| 5 |
9月9日 |
宍粟市消防本部 |
中・西播磨 |
アパートで硫化水素漏洩事故が発生 |
| 6 |
10月29日 |
明石市消防本部 |
神戸・東播磨 |
交通事故による多数負傷者発生 |
| 7 |
11月16日 |
佐用町消防本部 |
中・西播磨 |
地震により多数負傷者発生 |
| 8 |
11月20日 |
赤穂市消防本部 |
西播磨 |
地震により多数負傷者発生 |
| 9 |
12月2日 |
神戸市消防局 |
神戸 |
神戸ルミナリエ会場で多数負傷者発生 |
| 10 |
12月14日 |
宍粟市消防本部 |
中・西播磨 |
地震により多数負傷者発生 |
| 11 |
1月18日 |
伊丹市消防局 |
阪神南・北 |
地震により多数負傷者発生 |
| 12 |
2月13日 |
神戸・姫路・尼崎消防局 |
阪神・神戸・中播磨 |
同時多発NBCテロ(集団災害医学会) |
| 13 |
3月4日 |
三木市消防本部 |
東・北播磨・阪神北 |
交通事故による多数負傷者発生 |
平成21年度緊急搬送訓練一覧表
| 回 |
日時 |
訓練機関 |
圏域 |
内容 |
| 1 |
9月1日 |
厚生労働省 |
全国 |
広域搬送に伴うEMIS訓練 |
| 2 |
9月1日 |
姫路市消防局 |
中・西播磨 |
地震により多数負傷者発生 |
| 3 |
9月5日 |
兵庫県 |
兵庫県 |
淡路島で震度6弱・多数負傷者発生 |
| 4 |
9月10日 |
宍粟市消防本部 |
中・西播磨 |
集団食中毒事故 |
| 5 |
9月13日 |
たつの市消防本部 |
中・西播磨 |
集中豪雨による多数負傷者 |
| 6 |
9月29日 |
神戸市消防局 |
神戸 |
神戸空港航空機海上事故対応訓練 |
| 7 |
10月24日 |
相生市消防本部 |
中・西播磨 |
大地震発生による多数負傷者発生 |
| 8 |
10月31日 |
明石市消防本部 |
神戸・東播磨 |
交通事故による多数負傷者発生 |
| 9 |
10月31日 |
尼崎市保健所 |
阪神南 |
イベント会場への大型クレーン横転 |
| 10 |
11月4日 |
小野市消防本部 |
北播磨 |
地震により多数負傷者発生 |
| 11 |
11月9日 |
高砂市消防本部 |
東播磨 |
交通事故による多数負傷者発生 |
| 12 |
11月13日 |
宍粟市消防本部 |
中・西播磨 |
火災による多数負傷者発生 |
| 13 |
11月30日 |
兵庫県 |
兵庫県全域 |
テロによる多数負傷者
(国民保護訓練) |
| 14 |
1月27日 |
赤穂市消防本部 |
西播磨 |
高速道路における多重衝突事故 |
| 15 |
1月29日 |
加古川市消防本部 |
東・北・中播磨 |
地震により列車事故発生 |
| 16 |
2月20日 |
明石市消防本部 |
神戸・東播磨 |
地震による多数負傷者発生 |
| 17 |
3月4日 |
三木市消防本部 |
東・北播磨・阪神北 |
交通事故による多数負傷者発生 |

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